補助額最低3億円!新たに開始した大規模成長投資補助金とは?

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2024年3月6日から1次公募が開始された「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」は、補助総額・事業補助額の大きさに注目が集まる大型補助事業です。

しかし、大型補助事業である分その条件も厳しく、「投資規模10億円以上」とハードルの高さがネックですが、補助の対象となる経費項目の範囲も広いことが注目ポイントと言えます。

この大規模成長投資補助金がどういったものか、要点をまとめながらご説明します。


中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金とは

大規模成長投資補助金は、中堅・中小企業が「持続的な賃上げを目的として、足元の人手不足に対応した省力化等による労働生産性の抜本的な向上」と「事業規模の拡大を図るために行う工場等の拠点新設や大規模な設備投資に対して補助を行う」とされています。

大規模投資による企業の成長・生産性向上を補助金で後押し、その成果を従業員に賃金として還元されることで、特に地方における中小企業の賃上げ促進につなげ、敷いては国力アップにもつながっていくことを意識したものと考えられます。

これまでにない「賃上げ促進」を強めた、大規模成長投資補助金における事業概要は以下の通りです。



出所:中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 概要資料/中堅・中小成長投資補助金事務局

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大規模成長投資補助金の注目ポイント

この補助事業で注目すべきなのは、成長していくための大規模投資を中堅・中小企業に求めているため、各要件においてもそれが色濃く反映されている点です。
このような点はこれまでのものづくり補助金や事業再構築補助金にはなかったことといえます。


■補助対象経費項目

建物費(拠点新設・増築等)、機械装置費(器具・備品費含む)、ソフトウェア費、外注費、専門家経費

※建物費は生産設備等の導入に必要なものに限ります。なお、土地代は対象外です。
※交付審査時に経費区分に該当しないと判断される経費を計上している場合は補助対象外。


今回、大きな投資を促すために、補助対象となる経費項目も広くなっています。 特に「建物費」が含まれていることが大きく、既存事業全体のスケールアップや新規事業の取り組みを検討されている企業様にとって、メリットの大きい補助金制度といえます。

■投資額

事業投資額10億円以上(外注費・専⾨家経費を除く補助対象経費分)

今回の補助事業の根幹となっている大規模投資の促しを前提とした金額といえます。 ただし高額な分、投資を行える企業も限られてしまうため、1社だけでなく複数社共同によるコンソーシアム形式も対象となるなど、より多くの企業が補助金を活用できるかたちも取られています。

※投資場所が複数地域の場合も対象。ただし、補助事業の目的・内容が一体であること。
※共同申請(コンソーシアム形式での申請)も対象。ただし、以下要件を満たすことが条件。

1. 参加者の中で投資額5億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)の中堅・中小企業を少なくとも1社以上含むこと
2. 連携による一体的な大規模投資を行い、単独より高い労働生産性向上・規模拡大を通じた賃上げを実現する連携計画を策定していること
※ コンソーシアムに大企業が参加している場合、大企業の投資額を投資規模(10億円以上)の判定に含めることはできますが、大企業は補助対象外となります。


■賃上げ要件

補助事業の終了後3年間の補助事業に関わる従業員(非常勤含む。以下同じ。)及び役員1人当たりの給与支給総額の年平均上昇率が、補助事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上であることが必要です。

※最低賃金の年平均上昇率:2018年度を基準とし、2019年度~2023年度の5年間を指す。
※コンソーシアム形式の場合、全ての参加者がそれぞれ基準率以上であることが必要。


補足「補助対象経費」一覧


出所:中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 概要資料/中堅・中小成長投資補助金事務局

審査基準

審査では1次・2次の計2回を通じて定量的・定性的な審査のうえ、決定されます。

1次審査
審査基準の各項目を踏まえつつ、形式要件の適格性および計画の効果・実現可能性について、定量による書面審査を実施。
2次審査
提出計画に基づいた申請企業の経営者からのプレゼンおよび質疑応答。

※ 経営者以外の役員や事業責任者が同席し補足説明することも可能。ただし経営者の出席・説明が必須。
※ コンソーシアム形式の場合、幹事企業の経営者が代表してプレゼンテーションを行う。


審査基準項目


経営力
補助事業を通じて企業自身の持続的な成長につながることが見込まれるか

先進性・成長性
・差別化された取組か
・生産性の向上・人手不足が改善される取組か
・市場規模を上回る成長が見込まれるか

地域への波及効果
地域への波及、連携による相乗効果が見込まれるか

大規模投資・費用対効果
・リスクをとった大規模成長投資か
・付加価価値額が相対的に大きな取組か
・企業の行動変容が示されているか

実現可能性
・債務状況・実施体制等が十分に確保されているか
・課題設定・解決方法・スケジュールが適正か
・市場ニーズの有無を検証できているか

【審査基準詳細】


出所:中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 概要資料/中堅・中小成長投資補助金事務局

スケジュール

大規模成長投資補助金のスケジュールは以下の通りです。


※ スケジュールは、現時点での目安であり、今後変更となる場合があります。最新の情報は、中堅・中小成長投資補助金事務局のホームページを確認ください。
※ 1次公募終了後、2次公募を行う予定です。採択数や予算の配分は、執行状況に応じて決定します。


まとめ

莫大な予算が投下された今回の大型補助事業は、従業員の賃上げ推進を掲げている国の方針と相まって、当面継続的に行われるものと考えられます。
しかし、他の補助金に比べ審査項目も幅広くプレゼンも必要となるため、難易度が高い補助事業といえます。

補助金申請に長けた専門家への相談や、専門家の活用を前提に進めるなどしながら、経済産業省から発表される情報を随時確認し、公募要項に沿って申請しましょう。

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